レビュー:
『豊富なデータと詳解、納得のコストパフォーマンス』
ボクは青ルパン(旧ルパン)を再放送で観て育った世代です。子どもながら、あの不条理なハードボイルドタッチにはシビれました。きっと70s初頭の厭世的な時代の産物でもあったのでしょう。もう二度とあのような傑作アニメは出現しないのだろうなと思うととても悲しいです。ちなみに、旧ルパンの作画監督だった大塚康生さんは本書の中で次のように語っています。「では現在も『ルパン』は企画としての輝きを保っているかどうか・・・。僕は大きな岐路に差し掛かっていると考えています。確かにルパンは、幅広いファン層を抱え、高い支持を得ていますが、そのことが制作サイドに安定志向を選択させ、予定調和に陥らせているのではないでしょうか。」(p11より引用)今後、若手クリエーターたちが「ルパンVS複裡間」クラスの質の高い作品を制作してくれることを願いつつ、いまはこのムック本に収録された旧ルパン全23話を読んで、古き良き時代を懐古することにしましょうか。執筆陣の熱い語りにグイグイと引き込まれてしまいますよ。