レビュー:
現在まで30年以上の長きにわたって続くモンキー・パンチ原作の大ヒット・アニメーション『ルパン三世』シリーズ、その記念すべきファースト・シーズン全23話をDVD−BOX化。1971年10月から72年3月にかけてオンエアされた本作は、原作の持ち味を活かし大人の視聴者をターゲットとした作品で、一般層を意識した第2シリーズ以降とは一線を画す作りとなっている。演出は大隈正秋メインで、後に高畑勲、宮崎駿も参加し、今観直すと70年代初頭の気運を大いに反映したファンキーなテイストも実に味わい深い。音楽も山下毅雄、ヴォーカルのチャーリー・コウセイなど、ぐっとアダルト。ルパンのジャケットの色は基本・青で、声優陣では峰不二子を二階堂有希子が担当。初代ルパンの山田康雄の声も、まだこの時期は独特の台詞回しが確立しきっていない分だけ癖がなく、素直で初々しい。初放送時は視聴率低迷に悩まされたが、その後の再放送で徐々に人気を得て、第2シリーズ製作に行き着いたということもあり、やはりこれを観なくてはアニメ版『ルパン三世』は語れないだろう。(増當竜也)