レビュー:
『「夏」といえば「AIR」』
今この場所に立っている自分について深く考えるきっかけになったという点においては、最も影響を受けた作品の1つである。
AIRといえば夏、夏といえばAIR、というぐらいに強い季節感を持つ作品。
物語の日付と同じ時期にプレイしたので、この季節感はより一層印象強く印象に残っている。
ストーリーの大部分は海沿いのある田舎町の夏が舞台。
特徴的な登場人物、ゆったりとした時間の流れ、町全体が放つ夏の暑さ、それらを引き立たせる音楽、
こういったものが相俟ってAIRの世界観が確立されている。
ストーリーの評価はもちろん高いのだが、個人的にはこの「世界観」の中に身を投じ、空気を感じ取るのも楽しみの1つに挙げられると思う。
また同時に、AIRを100パーセント楽しむ上で、画面を通して主人公たちと同じ場所にいる感覚を得ていることは必須であると言えそうだ。
以後、夏が特別な意味を持って感じられるようになる。
冬の作品、Kanonに続く「泣きゲー」としての位置付けにあり、体裁としては恋愛アドベンチャーに分類されるが、
ストーリーがジャンルに縛られている感じはない。
表されているものはシンプルだが、理詰めで簡単に理解できるような単純なものでもなく、
月並みな表現だが、奥の深さに特徴がある。
最初にも書いたが、今いる自分や今あるこの世界について考える契機になるかもしれない。
事前の知識や先入観なしで始めてみて、1度始めたらぜひ最後までやりきってみてほしいと思う。
きっと自分の中に残るものがあるはず。
京アニのアニメ版もおススメ。
これはAIRの年齢制限版で、すなわち内容に制限のないものということになる。
AIRに限らず一般的に、制限の対象になるシーンは話の流れ上必然であればやはり必要だが、
流れとして必然でなければ不要であると私は考えている。
AIRの場合はそれほど必然性を感じないので、あえて全年齢版をプレイしても特に問題はないだろうと思う。