ARIA~高嶋ちさ子ベスト・コレクション~

レビュー:
何が高島ちさ子をあれほどまでに輝かせているのか?
まず第一に言えることは、クラシックにありがちな堅さとは無縁の、自由さ、率直さが、人々をひきつけてやまないということ。そして、高島ちさ子自身が、いろんな才能が集まる磁場をつくれる存在になっているということだろう。
それはヴァイオリニストとしての彼女の演奏にも現れている。特にヴァイオリンの単旋律で歌うヴァイオリンというのはとかく歌わせ方に神経質さや嫌味が出てしまうケースが多いが、高島ちさ子のくせのない素直な歌わせ方は大変耳に心地よく、どんな過激なアレンジであろうと、またオーソドックスな編曲であろうと、難なく受け入れる幅の広さがある。
のっけから変化球アレンジの「G線上のアリア」(ホンダ・フィットのCMタイアップ曲)は、シャープな雰囲気に意表を突かれるおもしろさがある。ギターの音色を利かせ、室内楽的な音色のなかでヴァイオリンを浮き立たせた「ニュー・シネマ・パラダイス」の後藤勇一郎の編曲は秀逸。峰不二子風(?)アレンジの「ルパン3世」には思わず笑みがこぼれてしまう。
マンシーニ「ひまわり」テーマ曲も、ヴァイオリンをピアノだけで支えながら、裸のヴァイオリンを聴かせる大人のアレンジ(朝川朋之編曲)が効いている。シンセサイザーによるモアモアした霧のなかにヴァイオリン・ソロが浮かび上がる「PARADIUM」(岩代太郎作曲)もおもしろい。
心から共感をもって聴ける映画やアニメのテーマ音楽のクラシカルなアレンジと、クラシックの名曲のポップなアレンジと、この両方の振幅の中に、高島ちさ子5年間の集大成が楽しめる。(林田直樹)

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