レビュー:
『こんなに傑作だったとは・・・』
ぱっと観た感じですと、「ディレクターズ・カット版」が綺麗になった、音が良くなった、
という風に思うのではないでしょうか。
しかし良く観ると、いきなりオープニングの名シーン「瞳に映り込む火焔」では、
「瞳の虹彩」が感応しているのが判ります・・・!
そして、ヴァンゲリスの名曲が「リミックス」されているのも、判ります・・・
そんなこんなで、この壮大なる世紀の傑作の「ファイナル・カット版」はスタートしていきます。
正直、観終わった直後は、「これ程までの傑作だったのか・・・!」と、驚愕しました・・・。
「後ろから撃たれてガラスに突っ込み、惨めに死んでいく女性」や
「白いハトが飛び立っていく空の色」を観ていると、
やはり涙が出て来てしまいます・・・
劇場公開時からレーザーディスク時代を経て、何度も何度も観てきたのに・・・
実は「ここぞ!」というシーンで、実に細かな補正・修正が施されています。
シークエンスによっては再編集もされ、追加撮影も行われています。
その細かな積み重ねにより、人を新たに感動させるチカラを持った作品に昇華しています。
同封コンテンツの中では、
「スニーク・プレヴュー(公開前の観客嗜好調査)編集版」が貴重かつ興味深いです。
音楽も編集も違う部分が多く、またこの編集版自体が世に出る機会は、まずありません。
この「スニーク・プレヴュー」の結果を受けて、あの「魔のナレーション」が生まれた訳です。
それとやはり「メイキング」です。
ハリソン・フォードをはじめとした大御所達がインタビューに臨み、
「映画史上最も醜いラブシーンの一つ」と言われた、レイチェルとデッカードの絡みのオフテイクも入っています。
(またそのシーンを、監督も嫌々撮ってるのが判るんです・・・笑)
星4つにしたのは、
07年カンヌ映画祭特別上映時のオープニング映像(タイトルバックが黒ではなく、グラフィカルな人間の壁画になっている)が、
どこにも収録されていなかった事と、やはりソフトとしての価格設定に対する苦情で、
内容的には実に充実し、素晴らしいモノです。
公開当時は冷ややかに受け止められ、興行的にも失敗・・・
しかし四半世紀を経て、今や「映画史上の金字塔」と評されています。
クリエイター達の優秀さは勿論ですが、
それを支え続けたファンのチカラも凄かった・・・
自分もファンの一人として、とても嬉しく思っています。