レビュー:
『極彩色から一転したモノクロの世界』
「座敷童子」「海坊主」「のっぺらぼう」ときて、「鵺」。
それまで一貫して描かれていた極彩色の美しい世界がここでがらりとモノクロへ一転し、
「見るものによって見え方が違う」というあやかし「鵺」の謎に迫ります。
香道という実に日本らしい、典雅な遊戯を軸に展開される謎解きと、
己が存在に固執するあまり狂気にとらわれた鵺の『真』と『理』。
振り返れば「鵺」は実にわかりやすく明快な回ですが、
アニミズムな思想と概念をふんだんに取り入れた
美しきジャパニーズホラーの真髄、と言えるでしょう。
降りしきる雪がなぜか直角に曲がってゆくという遊び心も健在。
輝くような色彩が溢れだし、襖絵の動物がゆっくりと目を開く、
クライマックスの演出はまさに必見です。