レビュー:
『期待はしているが……。』
個人的に、第一章【俯瞰風景】のクオリティの高さが抜きん出ている。私は中学生の頃に原作を手にとったのだが、その時に得た感動が沸々と蘇ったものだ。
踏まえて、第三章【痛覚残留】の出来は良くなかった。エヴァ映画版で感じた「キャラクターを殺している」といった感覚に近く、あれでは浅上藤乃という登場人物の在り方があまりにも可哀想である。
今回の話では、『式の存在定義の方向性が決定する』という有り様を描いているわけだが、やはり表現の仕方というものに、期待以上の不安が生じる。
[空の境界]とは真理追求の背景と共に、映像美であると私は思う。文面で表れる躍動感、その表現を得意とするはずの“映像”だというのに、なんと困難なことか……。